肌裏の裏打ちは、本紙とすべての裂地ひとつひとつに行われます。(裏打ちの作業の前に布の裁断を行います。)
霧を吹き、はけで整え、裂地は目を通し、肌裏紙に糊を塗りこみ貼りつける…といった作業を繰り返します。
ただし、このまま机などに置いて乾かしてしまいますと、水分の蒸発により紙や布が縮んでしまい、しわが寄ってしまいます。
それを防ぐために、平らな板や壁などに肌裏紙の縁の部分をはりつけて伸ばした状態で固定し乾かします。
これを「仮張り」といいます。次の動画にてご紹介させていただいております。
上の動画は「糊どめ」と言われる作業の様子です。
余白を切り落とし、実際に表装に使う形に裁断した裂地の端に軽く糊をあてます。これにより糸がほつれるのを防ぐ事ができます。
肌裏を打って乾かし、さらに中裏を打って乾かし、ピンと整いしっかりした本紙と裂地。
次は余分な部分を裁断し組み立てていきます。裁断は小刀やキリ、何種類もの定規、重りなどの道具を使い、正確に慎重に行います。
裂地の柄が合うように計算し、わずか3ミリほどの糊しろに均等に糊をのせ、金槌でたたいてしっかりと接着させます。
きっちりと裁断され、貼り合わされた本紙(作品)と裂地(布地)は表から見るとほとんど完成された表装に近い形としてみえてきます。
ここでいよいよ総仕上げともいえる「総裏打ち」と呼ばれる作業を行います。
貼り合わされて一枚状になった本紙と裂地の裏全体に紙をはって行きます。
「中裏打ち」の作業でも行った「くい裂き」という技術を使い、総裏用の紙をつなぎ合わせながら、はけで叩いてしっかり貼ります。
総裏を打った本紙と裂地はほぼ完成形といってもよい形になります。
ここに風帯と呼ばれる2本の帯、上下の軸、吊るしたり保管の際に巻いて止めるための紐をつけて完成となります。
風帯も完全手縫いで制作されます。「一文字」と呼ばれる本紙上下にあしらわれた部分と同じ裂地を使うことが決まりとなっております。
(風帯は仕立て方によってはつかない場合もあります。)